スバル クロストレック 「すべての性能が確実に底上げされた、扱いやすいサイズのクロスオーバーSUV」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

伊達 軍曹
伊達 軍曹(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

5

デザイン
4
走行性能
5
乗り心地
4
積載性
4
燃費
-
価格
-

すべての性能が確実に底上げされた、扱いやすいサイズのクロスオーバーSUV

2022.10.17

年式
2023年3月〜モデル
総評
燃費の面ではフルハイブリッドの強豪よりも劣ることになるはずだが、「運転する楽しさがある」ということと「安全かつ快適に遠くまで走っていける」ということの価値までを含めて“トータルコスト”を計算するならば、新型クロストレックのコストパフォーマンスは非常に高い。また従来型XVからボディサイズをいたずらに大型化せず、「扱いやすいボディサイズ」のままとなった点も、多くの車が大型化された今となってはひとつの価値。CセグメントのクロスオーバーSUVを探している人には間違いなく推奨できる。
満足している点
走行性能に関する派手な進化は特に認められないが、かといって「地味な進化」というには不適切なほど重要な進化が、ほぼすべての箇所で確認できる。いささかアグレッシブになったエクステリアデザインは好みが分かれるかもしれないが、好きな人は好きなはず。上級グレードに標準装備される11.6インチのセンターインフォメーションディスプレイも、同様のものを装着しているレヴォーグのそれよりも使い勝手は良い。またアイサイトに広角単眼カメラが国内スバル車として初採用されたというのもかなりうれしい。
不満な点
「医学的アプローチから生まれた頭部の揺れを防ぐフロントシート」や「使い勝手の良い11.6インチのセンターインフォメーションディスプレイ」などで構成されるインテリアは、機能面で大いに好印象だが、デザイン面では「もう少しクロスオーバーSUVらしい華やかさ」があってもいいはず。まだプロトタイプの試乗時点では公表されていないWLTCモード燃費も気になるところ。
デザイン

4

トレッキング=山歩きを連想させる「クロストレック」というグローバルで使われていた車名に改名したうえで、大型のヘキサゴン(六角形)グリルを採用。そして従来型以上にプロテクト感がある前後フェンダーと、フード位置を高くしたことで厚みが感じられるようになったフロントマスクなどで「アウトドアの相棒っぽいたくましさ」を表現している。それと同時にランプを小型化したLEDハイ/ロービームを全車に採用することで、「シャープで精悍な感じ」も表現。総じて、現代のユーザーがSUVに求めている“雰囲気”を上手に表現できている。
走行性能

5

パワーユニットのスペックは従来型XVの2.0e-BOXERと同じだが、フィーリングは全面的に向上。といっても「3割増しでパワフルになった!」ということではないのだが、スバルグローバルプラットフォームがフルインナーフレーム構造に進化すると同時に、さまざまな剛性アップや最適化などを行い、現行型レヴォーグと同様の2ピニオン電動パワーステアリングが採用された等々の結果により、静粛性を含む「すべての走行性能」はおおむね数%増しで向上している。もともと従来型XVの走行性能自体が高かったため、これはある意味「固く絞ったぞうきんをさらに絞る」といったニュアンスの改善作業であり、称賛に値する。また今回追加されたFF車の走行フィールと安定性も、舗装路においてはAWDになんら遜色はない。
乗り心地

4

こちらも劇的なまでの向上を果たしているわけではないが、クロスメンバーやサブフレームの剛性向上と、前後ショックアブソーバーのこまごまとした最適化などにより、ニュアンスとしては従来型XVより1割ほど乗り心地が良くなっている。この体感には、さまざまな空力処理による静粛性の向上と、ルーフの振動を抑えたことによる「耳が感じる乗り心地」の向上、さらには医学的アプローチから生まれた「頭部の揺れを防ぐフロントシート」も大きく寄与していると思われる。
積載性

4

カーゴルームの容量は従来型e-BOXERのそれよりも数値上は25L減少している。とはいえ実際に使用する際の積載性能は従来型と同等で、5名乗車時でも9.5インチサイズのゴルフバッグ3つを横置き可能。82Lのスーツケースであれば、こちらも3個を普通に積み込むことができる。
燃費

-

プロトタイプの試乗時、WLTCモード燃費は未発表。そのためここはなんとも言えないが、今回新たに追加されたFFモデルでは、従来型AWD車以上の燃費が期待できるものと思われる。
価格

-

こちらもプロトタイプ試乗時点では未発表。とはいえ従来型とおおむね同様か少し高いぐらいの価格となるのであれば、車としてのクオリティから考える相対的な価格は「格安」と言えるはず。
伊達 軍曹
伊達 軍曹
自動車ジャーナリスト
外資系消費財メーカー勤務を経て出版業界に転身。輸入中古車専門誌の編集長を務めたのち、フリーランスの執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、さまざまなメディアに多数の記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。
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